このようなLENKAの成果を受けて、現在は新たにMOM (Monitoring-On growout fish farms-Modeling)という管理システムが導入されようとしている。MOMはこまでのように養殖規模や収容尾数などではなく、養殖場の環境そのものとくに影響が累積的に現れる底質の状況を管理の対象としたところに大きな特色を持っている。所定のガイドラインに沿ったモニタリングと底質環境の簡便なモデルを組み合わせながら、R-methodのような解析モデルよりもっと現実的・実践的に養殖場の環境管理を進めることができると考えられている。図22にシステムの概要を示したが、モデルによる現状の診断にもとづいて汚染の進行の程度を3段階に区分し、汚染が進んでいる場所ほど監視(SURVEILLANCE)の頻度を高めるようになっている。すなわち、色や臭い、粘度や生物の有無など簡単に観察できるような項目の調査はすべての場所で毎月1回行うが、化学分析や生物調査については場所の状況に応じてその頻度が決定される。汚染が進み始めているような場所では一般に化学分析は生産に要する期間(たとえば1年)に2回、生物調査は長期的な変化を見るため2年に1回が基準となっている。負荷のレベルが日本に比べてまだかなり小さいのでこうした管理システムをそのまま適用することは難しいが、基本的な理念については参考になる点が多いように思う。